院長ブログ

2018.06.04更新

網膜剥離を治すのに、硝子体手術と網膜復位術の2つの方法がある。当院では、2つの方法を最適に使いわけ、できる限り緊急対応している。

 

ある平日の午後外来での事。もう一踏ん張りで業務終了の頃。受付スタッフから…剥離が来ました。と


一瞬…?紹介なの?

 

良く聞いてみると…問診だけで、そのスタッフは網膜剥離だと見抜いたようだ。確かに…1週間前から右目の端がチカチカ光った後に飛蚊症が増え、数日前から一部の視野が暗くなってきた。またその視野欠損(左上方)は徐々に広がってきていると。外傷歴は無く…と。まさに問診は完璧で、私が聞きたかった内容そのものであった。そして年齢は30代…年齢が若いから近視が強いんですかね?とまで付け加えての報告だった…頭が下がる。

 


手術をする人間としては…剥離の原因裂孔の位置や形。年齢により術式を使い分けているのが本音。一通りの検査が終わり…網膜剥離チャートを私が描く事を知っているスタッフがその準備を無言で用意…助かる。剥離の時に、網膜復位術の可能性がある場合は今でも必ずチャートを描くようにしているからだ。

 

眼軸測定(目の大きさ)も手術をするのには重要な検査項目。うちでは、オーダーを出さなくても、散瞳する前にしっかりデータが揃えてくる。開院以来、一緒に数多くの網膜剥離と戦ってきた結果だろう。検査結果を見て、カットダウン時や縫合糸の通糸時に強膜は薄めとか普通で大丈夫だとかのイメージをつける。

 

そして…とっくに業務時間を過ぎてからのご家族、ご本人様に病態や手術術式のムンテラをする事に決まった。嫌な顔ひとつしない受付、看護部。暗黙の了解で、それぞれの部署で最低限のスタッフだけが残り、しっかり対応してくれた。自然とそういった連携も出来てきたようだ…助かる。

 


私は、業務に専念。何故か?若いのに、他眼はすでに単焦点レンズが挿入されていた。お話を聞くと、先進に入っていたが多焦点レンズのメリットを良く聞かずに、安易に単焦点レンズを選択してしまったと。剥離の起きているこっちの眼は、どうしても先進医療を使用したいと。先の手術での後悔や無念の念が強く感じられた。その事があり、先進認定施設であり、剥離も対応している当院を遠方ながら探し当ててくれたとの事であった。

 


私のやる事はすぐに決まった…準緊急でのバックリング手術で剥離を直し、落ち着いたら希望であるレーザー白内障手術をする事。

 


バックリング手術の利点と欠点をお話しして、硝子体手術の利点、欠点もムンテラした。まずは、網膜剥離をしっかり治さないと…後に行う白内障手術自体の意味が無くなるから重圧はある。もちろん再剥離のリスク、合併症についてもお話しした。

 

黄斑剥離は生じていない下耳側の網膜剥離であったため、翌日(火曜日)の予定手術の一番最後での対応とした。助手に入るスタッフ達は、いつものようにボリュームある予定手術を終えてからの対応…頭が下がる。

 

実は…その日の予定手術はいつも通りボリューミー。バックヤードで手術器具を滅菌するスタッフも…私の手術ペースを乱さずに迅速に丁寧に対応してくれた…助かる。

 

バックリング手術をしていると…改めて眼の解剖の大切さ、オペ室での眼底検査の能力、カットダウンの位置やバックリングを置くセンス、そして…強い精神力と強靭な肉体。全てが備わっていないと完遂しない手術なんだだと…感じる。

 

まだまだ、その能力や体力は維持出来ているようだ…翌日、バックリング上に裂孔がしっかりのっていて網膜下液がしっかり抜けていた。一安心。

 

ただし、レーザー白内障を終えるまでが、うちの仕事。こう言ったバリエーションのある要望に対応できるクリニックになってきたのは…やりがいを鼓舞されるのと同時に誇らしくもある。

 

私の原動力の根底には…やはり患者様のためにの思いが強いのだろう。そしてスタッフ達全員も…。


また、つい先日も黄斑剥離の20代の網膜剥離を手術した。典型例らしく、1ケ月以上前から異変には気付いていたが…放置。いよいよ見えずらくなり(黄斑が剥がれて)来院。気持ちは分かるけど、もう少し早く来院して欲しかった。なぜなら…黄斑(網膜の中心)まで剥がれてしまうと必ず歪み、視力低下が残るし、たとえ視力が回復しても…暗く感じるから。


手術は、今回もイメージどうりに終わった。硝子体手術と比べ体位制限が不必要だから社会復帰も早い。

 


今回、改めてバックリング手術の良さを再認識したと同時に、うちのスタッフ達の成長した姿やチーム医療の完成形を垣間見たようだった。私は…自分の体力と気力が続く限り、クオリティーの高い網膜復位術をこのクリニックで提供し続けていける自信を深めた出来事でした。

投稿者: 下之城眼科クリニック

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